徒然な日々に

その日の個人的出来事や、見たニュース、記事から思った事、感じた事を徒然と…
04月26日(金)

目処も立てずに参加すればそりゃあ… 

25日付けのYOMIURI ONLINEの記事から

丸善、落札した図書室業務「要員そろわず」辞退
 書籍や文具の販売などを手がける丸善(本社・東京)が、国立新美術館(東京・六本木)から受注した同館の「アートライブラリー」の運営業務を、今月1日からの開始直前に「スタッフをそろえられない」として辞退し、同館を運営する独立行政法人国立美術館(法人本部)から、書籍購入などの取引を4か月間停止する措置を受けていたことが24日、明らかになった。

 これを受けて国立博物館などでも、取引の一時停止を検討している。

 法人本部によると、契約は3年間で、予算額は9315万円だった。公募に応じた5社から、2月5日に丸善が選ばれたが、3月29日になって契約を辞退。丸善経営管理部は「落札後、スタッフの確保に努めてきたが、技能のある要員をそろえることができなかった」と話している。
(2013年4月25日12時22分 読売新聞)

 むしろ、こんな安値の仕事を丸善がよく出来ると思ったなって感じですね。

 3年間の予算が9315万円という事は、年間予算はたったの3105万円ですよ?

 それに対し、アートライブラリーの所蔵資料は展覧会カタログ90,044冊、図書36,267冊、逐次刊行物2,821タイトルと総計約13万冊という、下手な図書館より遥かに点数がある規模なんです。

 都内の公共図書館は区の基幹となるような大規模なもので大体10数万点、小規模になると5万点以下も普通にある。

 実際にアートライブラリーを見たわけではないし、敷地面積や展示方法などについての詳細もHPなどでは不明でしたので何とも言えない部分はありますが、何れにしても技能持ちの要員を揃える必要があるのに、たったそれだけの予算では人員の確保なんてまず無理だろうと

 おまけに、国立新美術館は火曜休館なので、シフト制で常に交代人員を確保しておく必要があるし、上記のような膨大な資料に対するレファレンスなどもせねばならないのでコンビニのバイトのように誰でも簡単に出来るわけじゃありません。

 それこそ、司書などの資格持ちともなれば給与だけでそれなりに行くわけで、アルバイト並の予算で人件費が抑えられるわけがないのですから、十二分な人員を揃えようとすれば手間も掛かる上に金も掛かる。

 内容の如何に関わらず一日最低3人程度は必要になるでしょうから、仮に1人の年間人件費を500万円とすると交代1名の4名だったとしても年2000万円は掛かる

 それ以外の経費が一切かからない上、人員もその人件費と人数で抑えられれば儲けが出ますけど、他にも業務が色々あって5人は必要だとか、人件費がもっとかかるとかって話になると儲けは殆どないどころか、逆に足が出かねなくなってきます。

 そもそも書店員と図書館員じゃ必要な技能も知識も違いますからねぇ?

 販売とレンタルでは、接客技能も異なるし、書籍の仕入れや展示方法なども似ているようで実は全く異なります。

 わかり易く説明すると、先程少し記したように、図書館の募集では司書資格が条件となる事が大抵ですが、書店員の場合それは不要であり、丸善だろうが紀伊国屋だろうがそれ以外だろうが、無いよりはマシ程度にしか認識されません

 書店員の場合、最低条件は大体が大卒というもの位(あとはそれぞれで異なるが、大卒は大型の場合どこも一緒)で、明確にこの資格をと言うのは普通ありませんが、業務内容から、販売員関係の資格が必要なのと、後は体力ですね。

 決まった時期に決まった冊数を入れるだけの図書館とは異なり、日本で販売される年間7万冊もの新刊の大半を扱うのが大型書店であり、1日平均200冊もの新刊を搬入して並べ、同時に古い本や売れない本などを返品していかねばなりませんし、悪質なクレーマーや万引き犯、盗撮犯とも毎日接し続けなければならない苦労は、図書館のそれとは比較になりません。

 無論図書館でもクレーマーや犯罪者はいますけど、例えば書店の万引き被害は大型書店14社で年間40億円

 書店全体の推定は130~140億円と言われている、つまりは毎日5000万円以上の被害が出ているわけで、図書館の業務と同じ感覚でやっていたらあっという間に在庫と予算が犯罪者に食われて潰れるとわかりますよね?

 盗撮犯にしても、ファッション雑誌など流行モノや話題の新刊を求めて若い女性が訪れるのは当然ながら書店の方が多いですし、クレーマーにしてもただで借りられるのと購入するのとでは当然違ってきますよねぇ?

 金品の請求なんて、図書館にはできませんし、表紙の保護や図書館のシール、判子の入った本は転売できませんし。

 とまぁ、そんなわけでどっちかをやっていたからそのままもう片方でも通用するって単純な話ではないわけで、人員の見通しも立っていないのに落札に参加していましたとか、幾らなんでも丸善の対応がいい加減過ぎますよねぇ?

 落札から辞退までの流れからして大方、人員確保は落札した後に募集をかければどうにかなるだろうと楽観していたのでしょうけど、そんなのがうまく行くと思っているようでは、そりゃ失敗するのも当然です。
スポンサーサイト
ご意見拝見しました。
確かに、落札価格から推察して、無理がある、落札業者として無責任との指摘はおっしゃる通りだと思います。

ただ数点勘違いされているようにとれた部分もあるので、意見を書かせてください。
まず丸善は図書館員の業務委託契約の事業部を持っています。つまり「書店員」とは違う「司書資格保有者」や「図書館業務経験者」を雇用する事業部を持っています。ちなみに他の書店も同じような事業部を持っています。最近の書店の多くは、「図書館員」の業務委託請け負いを行っていることをご理解ください。なので、今回に関しては入札参加資格の最低条件は持っています。

ただご指摘の通り、国立美術館の要求するようなレベルの「図書館業務精通者」を「書店」が用意できるのか・・そこがこの問題の争点の一つであると思います。

またそれ以上に考えなければいけないのが、今回国の入札によって落札が決定した点です。入札では仕様書が配布され、落札前には質疑書をやりとりします。業者決定は基本的に契約課でされ、客先の現場の意向は考慮されません。落札業者決定後に、客先の現場の方々と業者との間で実際の調整を行います。今回は誰が仕様書を書き、どんな質疑のやりとりがされ、誰が業者選定を行い、落札後は今回の落札価格が示す図書館員のスキルとはどのようなものかを誰が説明し、それが本当に仕様書のとおりだったのか、そもそも4月業務開始なのに入札が行われる時期は妥当だったのか等、隠されている部分が明るみに出ない限り、論点がぶれるように思います。

小さな業界ではありますが、また動向を見て頂けると幸いです。




[ 2013/04/26 23:03 ] 名無しさん [ 編集 ]
 通常、名無しの人には返信しないのですが、どうやら関係者の方らしいので特別に。

 通常国のやる入札などにはそれなりの企業としての知名度や過去の実績などが必要とされるのは、どの業界でも一緒なので、丸善に専用の部署や資格保有者がいるのは当然でしょう。

 大臣参加のイベントの運営ならば、過去に大臣参加のイベント運営経験があること…といった具合に、同程度の経験を役所は契約に際して求めてきますから。

 故に資格保有者であり、経験者である人間の存在はこの手の契約ではまず間違いなく最低条件として入っていますので、現場を取り仕切るだけのスキルがある人間は丸善にも最初からいたと思っています。

 ただし、部署があって現場責任者になれる人間がいることと、現場で実際に実務をこなしていける十分なスキルを持った人員が確保できているかが別物なのは今回の一件が示す結果の通りであり、入札内容と自社の現状、落札後の計画性について確たるものを持っていなかった結果としてこういう事態になったのだろうと私は思いました。

 記されているような入札の仕様書そのものはただの一般人には参加自体できないので閲覧できず、内容や落札後の経緯がどうであるかは当然ながら私に知る術はありません。

 ですが、国や地方自治体など公共機関の絡む業務の場合、全く当事者が介在しないままに上部の役人とのやり取りだけで決まるという事は普通無いと思います。

 無論、立案者と現場の人間とが異なるための齟齬と言うのはお役所仕事の場合往々にしてありえますが、記述されている落札前の質疑書で普通は必要事項の確認は取れますし、今回のように業務内容そのものが明確に分かっているものであれば現場に下見に行ったり、HPにあるPDF資料などを読み解くことである程度の推察は立てられますし、それ以前に役所の書類は悪く言えば製作者の責任回避に最も重点を置いた作りとなっています。

 何故なら、今回のようなケースがあった場合は仕様書の作成者にも責任が及ぶからで、それ故にこの手の書類は誤読や内容の不明瞭が原因で後々トラブルになるような漏れが無いように細心の注意を払って作成されますので、現場の意向がまったく無視されると言われるのには、疑問を感じます。

 これは私自身が地方自治体や省庁の関係機関などと仕事をしての経験を踏まえたものですので、件の選定だけ全く別物であったとは考え難かった。

 また、入札と業務開始時期の妥当性については、仕様書に明記されていなければならない最も重要な部分の一つですので記されていないわけがないし、条件を理解し同意した上での入札参加もこれまた当前で、それを事が済んでから契約内容は妥当ではなかったなんて言っても通用しないのは、企業間であれ個人間であれ一緒です。

 そして何より、開示されることのない部分を問題視して論点がぶれると言われても、当事者以外にそれはわかるわけがないので、執筆する上では論点にしようの無いものです。
[ 2013/04/29 03:17 ] folke [ 編集 ]
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

folke

Author:folke
怠惰な社会人。
画像はウチのトイプードル(ウサ耳Ver)

月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム


folkelowさんのランキング集計結果