徒然な日々に

その日の個人的出来事や、見たニュース、記事から思った事、感じた事を徒然と…
11月27日(金)

スパコンと大和の価値 

25日付けのMSN産経ニュースの記事から

ノーベル賞野依氏 「歴史の法廷に立つ覚悟あるのか」 事業仕分けのスパコン予算カットに
2009.11.25 11:05
 ノーベル化学賞受賞者で、理化学研究所の野依(のより)良治理事長が25日、自民党本部で開かれた同党文部科学部会に出席し、政府の行政刷新会議の「事業仕分け」作業で、次世代スーパーコンピューターの開発予算が事実上凍結されたことについて、「不用意に事業の廃止、凍結を主張する方には将来、歴史の法廷に立つ覚悟ができているのか問いたい」と痛烈に批判した。

 次世代スーパーコンピューターは、理化学研究所が主体で研究開発している。野依氏は「科学技術振興や教育はコストではなく投資だ。コストと投資を一緒くたに仕分けするのはあまりに見識を欠く。次世代スパコンはいったん凍結すると、瞬く間に各国に追い抜かれ、その影響は計り知れない」と強調した。

 また、「仕分け人」が「トップを取る意味はどれくらいあるか」などと質問したことに野依氏は「中国やアメリカから買えばいいというのは不見識だ。科学技術の頭脳にあたる部分を外国から買えば、その国への隷属を意味する」と述べ、「仕分け人」らの発想に疑念を示した。

 技術を金に換算する人間の中にはこのスパコン開発を戦艦大和に例えて時代遅れの象徴であるかのように例える人がいますが、それは大きな間違いです。

 そもそも先が見えていて要不要が判別できるようなものなら誰もが安牌を選びますが、そんな『兎』の主人公みたいなスキルは誰も持ってなどいません。

 だからこそ大和になぞらえて批判している池田信夫氏だってNHKでアナログハイビジョンなどというプロジェクトを大失敗させて、受信料と税金を何千億と言う単位で溝に捨てる結果を招いたんじゃないんでしょうか?

 それに何より、大和は結局活躍らしい活躍を殆どせずに姉妹艦共々沈んでしまいましたが、それは全くの無意味・無価値なものであったのかといえば、そんな事は全然ありません。

 大和級戦艦は現在のタンカーなど大型艦では当たり前になっている波の抵抗力を削減する球状艦首や製造工期を短縮させるブロック工法技術、強度を維持したまま重量軽減を可能にする蜂の巣装甲など、当時の日本の最新技術を結集させて造られたものであり、現代社会にもそういう技術革新の成果は受け継がれています

 ましてや、大和級が活躍出来なかったのは運用側の問題であって艦の性能が問題ではありません

 実際、投入されていれば戦闘結果が全然異なっていた可能性のある戦場が幾つかあります。

 例えば、ミッドウェー海戦。

 前線には僅かな護衛を伴っただけの(それすらも満足な護衛が出来ぬ陣形で)空母が突入しており、肝心の大和率いる戦艦部隊は遥か後方をのんびりと意味の無い大名行列を行って、空母部隊が壊滅するやさっさと逃げ帰っていますが、もしここで大和が自ら陣頭に立って空母の護衛を行っていたらどうだったでしょう?

 大和の46cm砲で対空用の零式弾や三式弾を撃てば効果範囲は金剛級の比ではありませんし、大和のような新鋭の超大型戦艦(金剛級が全長222mなのに対して大和は263mあり、並ぶと金剛級は巡洋艦程度に見えてしまう)が艦隊にいれば目立つ事この上ありませんから、敵部隊もそちらに何割か誘引されていた可能性もあり、史実よりも空母の損害を抑えられた可能性は十分にあったと思います

 例えば、第三次ソロモン海戦。

 金剛、榛名によるガダルカナル島航空基地の砲撃成功に気分を良くした連合艦隊は残る金剛級2隻を使って同じ事をやろうとしますが、結果、2隻とも喪失してしまいます。

 しかし、ここで大和が供に突入していれば当然ながら敵の第一攻撃目標は大和になりますので、史実のように比叡が舵を損傷した可能性は下がりますし(大和が舵をやられた場合の話は丁度横山信義氏が中公ノベルスで『虎口の海』という上下の仮想戦記を出していますのでそちらを)、また、2日目の夜戦においても元々46cm砲防御を施されている大和ならサウスダコタやワシントンを纏めて相手にしても戦えた(というか数の差を質の差で上回るのが大和のコンセプトなんですよね)でしょう。

 特にワシントンは元々36cm搭載予定だった為防御力が低く、大和ならバイタルパートだろうが易々と貫けますので、発見さえ出来れば(ワシントンは遠距離からのレーダー射撃を行っており、日本側はこれを見つけられず、霧島を沈められている)撃沈は難しくなかったでしょうね。

 さて、ここで大和じゃその二つの海戦についていけなかったんじゃないのかと思う人がいるかもしれません。

 しかし、実際にはそんな事は全然無いんですよね。

 大和の速力は公式には27ktですが、これって軍用機の速度計測と一緒で一定の条件下(重量を一定割合以上積んだ状態)で計測するので、重油搭載量が半分などの身軽な状態になればもっと出ますし、大和はタービン及びボイラーを本来の低格出力より値を落として使っていた(信頼性と安全性の問題から)ので、実際には状態次第では30kt以上も発揮出来たと思われます

 また、空母の護衛に関してはサウスダコタ級などの大和とほぼ同速度の戦艦がエセックス級に追随できていましたし、ミッドウェー海戦時には最大速度が28ktの加賀がいたわけですから27ktの大和であっても何の問題も無かったと言えます。

 大和の失敗は結局温存ばかりして肝心な時に使わず、その癖にミッドウェーで意味の無い大名行列をして油を浪費するなど、用兵側がその価値を活かせなかったという一点に尽きるでしょう。

 私がこの手の話の時に毎度言っている事ですが、所詮道具は道具、使い手によってどうにでも変わるものに過ぎないと言う事です。

 スパコンだって上手く使えばその圧倒的な演算力を活かして様々なシミュレートの時間と予算を大幅に減らす事が出来ますし、そこでの技術を後に反映させる事だって可能でしょうが、それを単に自らの力を誇示したり、金儲けなどの手段に堕すならばそれは意味の無い無駄遣いに終わる事でしょう。

 こういった事実を踏まえずにスパコン開発は大鑑巨砲主義だの大和と同じだのと批判し、2位でいいだの、他国から買えばいいだのなんて発言は不見識に過ぎます。

 ましてや量産販売品と同列に扱ってコストがどうのとか、もうお前は一体何を見ているのかと。

 仕分けをやる上で肝心なのはそれが誰かの利権となっていないか、開発に無駄があるかどうか、という事であって、開発そのものの意義を的外れな批判で握り潰そうなんて論外ですよ。
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